しかし、実務ではお断りしています。
役割分担をして負担を軽減させたり、互いに情報共有や監視が出来たり、
いざという時の対応も動きやすいし複数なら心強い!
一人きりでの受託者は不安が大きすぎるのでは・・・?
とお考えの方も少なくないかと思います。
しかし、リスクは潜んでいます。
大きな欠点は、もし受託者同士で主張の相違があった場合
「受託者が二人以上ある信託においては、信託事務の処理については、
受託者の過半数をもって決する」(信託法第80条) とあります。
つまり、二人の意見が完全に一致しないと過半数にはならないので
信託事務を進められなくなってしまいます。
一人だと物事を円滑に進められるのに対し、
受託者が複数になると何事も意見の合致が求められ
時間が大幅にかかってしまったり
また、トラブルに繋がる恐れも・・・。
もう一つの欠点は、信託用の口座が作成できないことです。
受託者が二人や複数いる場合は、金融機関が信託用の口座を作ってくれません。
仮に今後、銀行で作成できるようになったとしても、
どちらがこの口座を管理するのか、新たな問題も起きてしまう可能性があります。
柔軟な財産管理をするために家族信託を結んだのに、
意見がまとまらずにそこで止まってしまうと家族信託の長所がなくなってしまいます。
家族信託の持ち味を活かす為にも受託者は一人にすることをお勧めしていますので、
受託者を二人(複数)にすることは実務上お断りしております。
受託者を二人にするのではなく、受託者が先に死亡した場合などに備えて「第二受託者」を定めることを推奨しています。